2014.10.14
これは、建設工事に伴って排出される廃棄物は、原則、その工事の元請業者が排出事業者となるということです。
これは、2010年の廃棄物処理法改正で明文化されたものです。
なぜ、元請業者に責任を課すのか?
環境省通知「建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について」には以下の内容がまとめられています。
- 廃棄物の発生場所が一定しない
- 発生量が膨大である
- 廃棄物の種類が多様であり、混合状態で排出される場合が多いが、的確に分別すれば再生
利用が可能なものも多い - 廃棄物を取り扱う者が多数存在する(重層下請構造が存在する)
乱暴にまとめると、「ごちゃごちゃしていてよく分からなくなりがちだから、大元に責任持ってもらおう」という感じでしょうか?
特に注目したいのが“重層下請構造”という言葉です。
元請・下請け・孫請け・・・・と多くの会社が一つの工事に関わっていることで、不適正処理等の事案が発生した際に、責任の所在が曖昧になってしまう可能性が高いということです。ならば、原則元請の責任としておいて、現場ごとに廃棄物の管理をしてもらおうということです。
ですので、自社が元請となった際は細心の注意が必要です。
下請けに任せておいて、事件になった時には、元請が罰せられることになってしまいます。
例外はあくまで例外
実は、法律上は原則元請責任ですが一部例外も定められています。
以下の場合は、下請けでも排出事業者となることができます。(法第21条の3第3項)
- 建設工事(建築物等の解体、新築又は増築を除く)又は建築物等の瑕疵の補修工事であっ
て、当該工事の請負代金の額が500万円以下であるもの - 特別管理廃棄物以外の廃棄物であるもの
- 1回に運搬する廃棄物が1㎥以下であるもの
- 当該運搬の途中で積替え保管を行わないもの
- 運搬先は元請業者が使用権限を有する保管場所又は廃棄物処理施設であって、排出場所と
同一の都道府県又は隣接する都道府県に存するもの - 事業場の位置、廃棄物の種類及び量、運搬先並びに運搬を行う期間等を具体的に記載した
別紙を作成し、請負契約書の写しとともに携行するもの(省令第7条2第3項第9号)
これらの条件があり、上記すべてに該当する場合のみ下請けの排出として、自己運搬等が可能です。特に「1回に運搬する廃棄物が1㎥以下であるもの」とありますから、本当に極少量の廃棄物しか取り扱えないようになっています。
「排出量が少なすぎて、自己運搬で簡単に済ませたい」という場合以外は、素直に元請管理の下、許可業者に委託するのが得策です。
参考引用サイト:環境省HP:「建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)」