2019.06.14
工場で発生した廃棄物は、その工場から直接、収集運搬業車に引き渡して処理委託をするのが一般的です。
しかし、もとの排出場所では広い保管場所を確保できない、マニフェストを取り扱える担当者が配置されていない等といった理由から、廃棄物を工場間で移動させ、一括で保管してから処理委託をしている排出事業者もいらっしゃいます。
ご担当者様から「今まで当たり前に工場間を移動させていたけど、そもそも移動させていいの?何に注意しないといけないの?」という質問をいただいたことがあります。
工場ごとで保管及び処理委託しているパターンが多いからこそ、「今のままで大丈夫なの?」と不安が生まれるのかもしれません。
「工場間を移動させてもいいの?注意点は?」今回はそんな疑問にお答えしたいと思います。
工場間移送をしてもいいの?
同一法人の工場間で廃棄物を移動させることは可能です。
ただし、自社運搬の場合と、運搬を委託する場合のそれぞれに注意点があります。
自社で運搬(移送)する場合
自社で運搬する場合でも、「産業廃棄物の運搬基準」を守らなければなりません。
運搬基準とは、大きく分けて車両の表示(両側面)、備え付け書面の2つです。
【車両の表示】
車両には
・産業廃棄物の収集又は運搬に供する運搬車である旨
・氏名又は名称
を表示したものを両側面に表示する必要があります。
【備え付け書面】
備え付ける書面には
・氏名又は名称及び住所
・運搬する産業廃棄物の種類及び量
・運搬する産業廃棄物を積載した日、並びに積載した事業場の名称、所在地及び連絡先
・運搬先の事業場の名称、所在地及び連絡先
を記入してある必要があります。
下記の画像にもあるように、その他にも字の大きさなどの細かい基準があります。
自社運搬基準に関して、詳しくはこちら
*環境省WEBサイト 『運搬車に係る表示義務及び書面備え付けの義務の概要』より
収集運搬業者に委託する場合
収集運搬業者に委託して運搬を行う場合は、委託基準を順守する必要があります。
工場“内”の運搬に関して、大阪府HPでは次のように解釈が示されています。
これによると、公道を通らない場合は委託基準が適用されず、マニフェストの交付は必要ない。とされています。
ということは裏を返すと、「公道を通過する場合には、委託基準が適用され、マニフェスト交付が必要だ」と考えることができます。
運搬のみを委託する場合、マニフェストも変則的な運用になります。
排出事業者の皆様が注意して発行しなければならないのはもちろんですが、運搬業者もしっかりとした対応力のあるところに委託する必要があります。
スタンダードなマニフェストは問題なく運用できても、変則的なものになると適切な対応ができないということは、実はよくあることなのです。
このように、工場間移送には一定の注意事項とリスクがあります。
その一方で、別工場の施設で自ら処理できたり、または、保管容量が多い事業場で保管することでコストメリットのある処理業者と契約できたりと、条件が整えばコスト削減が実現できる可能性もあります。
一度、検討してみてはいかがでしょうか?
ミズノでは、運搬条件や、委託先の選定など、条件に応じてサポートしています。お気軽にご相談下さい。