2015.10.14
”到着時有価物”とは?
有価物の輸送費が売却代金を上回る場合に、排出事業場から処分先までの輸送中は廃棄物として扱い、処分先に引渡した時点で有価物として扱うもの。これらを”到着時有価物”と呼びます。
環境省の「規制改革通知(H25.3.29付)」では、売却代金と運送費を比較し、排出事業者側に経済的損失がある場合(「運賃による逆有償」「手元マイナス」)については、輸送段階は産業廃棄物に該当し、引取側に到着した時点で廃棄物に該当しなくなる場合があると示されています。
最終的に有価物になるのであれば、マニフェストは必要ないのではないか?と思われるかもしれませんが、そうではありません。
輸送中は産業廃棄物になるので、マニフェストを発行する必要があります。
紙マニフェストの場合
引取側(すなわち売却先)に到着した時点で廃棄物ではなくなるため、マニフェストの記載項目である産業廃棄物の処分受託者は存在しないことになります。
必要なマニフェスト伝票は、実質、A票・B1票・B2票のみとなり、C票以降は不要となります。
ただ、管理の方法として、【処分受託者】欄に引取側の情報を記入し、到着時有価物の取扱であることが分かるようにし通常のマニフェストと同様に保管しておくことが望まれます。また、【処分の受託(受託者の会社名・処分担当者の氏名)】欄に関しては、売却先に記入してもらうことが望まれますが、法的義務がないので空欄にしておくことも可能です。
※排出事業者または収集運搬業者が【処分の受託】欄に記入することは適当ではありません。
電子マニフェストの場合
必要なマニフェスト伝票は、上記の紙マニフェストと同様、A票・B1票・B2票のみです。
では、どのように登録するのでしょうか?
JWNETの業者設定には『報告不要業者設定』というものがあります。収集運搬や処分の終了報告が不要になる場合に使用します。荷物が到着した時点で廃棄物ではなくなるため、引取側には処分終了等の報告する義務は発生しません。なので、引取側を『報告不要業者』として登録します。
マニフェストを発行する際には、【処分業者】欄には事前に登録した『報告不要業者』を選択します。処理委託後は、収集運搬までは産業廃棄物であるため、運搬会社からの運搬終了報告を確認する必要があります。運搬終了報告がされたと同時に、自動的に処分と最終処分が終了したことになり、照会画面では運搬、処分、最終処分の全てに「●」が付きます。
※ただし、自社運搬の場合は到着時有価物として電子マニフェストを発行することができません。
自社運搬の場合、①収集運搬終了報告は不要であること、②搬入先が報告不要業者の場合、処分終了報告等が不要になること。つまり、この2点より、運搬も処分も終了報告が不要になるため、マニフェストを発行する意味がないということになるためです。
参考引用サイト:環境省HP『規制改革通知(H25.3.29)』