汚泥の処理委託先の「限定条件」確認していますか?
皆さんは廃棄物の処理を委託する際に、処分許可証をきちんと確認されていますか?
もちろん、確認している!という方がほとんどかと思いますが、実は詳細に読み込んでいくと「見落としやすい」情報が潜んでいることもあります。
その一つが、「限定条件」です。例えば汚泥では、下記のように条件付きの廃棄物に限ると許可証に記載していることがあります。
「無機性の無害なものに限る」のような文言が記載されている場合、単純に汚泥というだけでは処分の可否が判断できません。
有機・無機、無害・有害の判断が必要となります。
有害・無害は、分析などを行って判断できます。
では、有機・無機の判断はどのように行えばよいのでしょうか?自社から出ている汚泥が有機汚泥、無機汚泥のどちらに該当するのか?と改めて聞かれると、自信をもってお答えすることはできますでしょうか?
今回は自社から出てくる有機汚泥と無機汚泥の判断基準について解説します。
有機汚泥と無機汚泥の判断基準
実は、明確に有機汚泥、無機汚泥を区別する基準というものはありません。
産業廃棄物の20品目に「汚泥」という項目を目にして、「有機・無機汚泥」という項目を目にした方はいらっしゃらないかと思います。
法律上、有機・無機の区別をしていないため、その判断基準も当然ありません。
では、なぜ許可証には、有機・無機の区別があるのでしょうか?
これは、行政が許可を出す際に、「現実的に処理可能な施設かどうかを判断した条件」を個別に付けていると考えられます。
例えば、「汚泥の堆肥化施設」は、動植物性残渣や有機汚泥を発酵させることで、リサイクル処理を行う施設です。この施設は、「堆肥化」という特性上、無機物を入れても意味がないのです。反対に、建設資材としてリサイクルする場合は、基本的に有機物は要りません。
このように、「許可の限定条件」は、法律の区分というよりは実務運用上の条件なのです。
そのため、基本的に汚泥の判断軸は、「業種」と「排出工程」になることが多いです。食品関係の企業様から排出されるのであれば有機汚泥、建設系の企業様からの汚泥であれば無機汚泥、などと大まかに判断できることがほとんどです。また、自治体によっては業種・排出工程以外にも「熱しゃく減量」も有機・無機を見分ける判断軸として使用するところもあります。
結局、処理会社の施設で受け入れできるかどうか?の基準なのです。処理実務上の条件であるため、厳密な定義を適用したり、排出事業者が明確に判断するというよりも、大まかに決めて処理業者に相談するほうが現実的です。
法知識は、廃棄物管理の効率化につながる
許可証に、「無機汚泥に限る」などと書かれていると、何か明確な基準があるはず…と考えてしまいますよね。しかし、確認をしてみるとそれほど明確な基準はありませんでした。
廃棄物管理のご担当者様が、陥りがちな「調べても調べても確証が持てない」という状態は、実はそもそも「確証につながる情報が存在しない」場合もあるのです。
これは、個人で考えていてもなかなか解決できない問題です。そういった場合は、行政に問い合わせるという手段もありますが、専門知識を持った第三者に相談することも一つです。