2019.09.17
先日、排出事業者のお客様にこんな質問を頂きました。
「収集運搬と処分をかねた契約では、収入印紙の額はどう判断するのか?」というものです。
契約書の印紙額について悩まれるお客様の声は度々、お聞きします。今回は収集運搬及び処分契約書における、「印紙額の計算方法」について整理していきます。
収入印紙は委託金額が高い方を貼る!
例えば、収集運搬及び処分契約が一つになっており、収集運搬委託と処分委託それぞれの料金が記載されている契約書があります。
委託金額は処分委託の方が高いのですが、金額をもとに印紙額を計算してみると(税率の関係で)収集運搬に関わる印紙額の方が高いという場合があります。
基本的に、印紙額の計算で迷ったときは「高い方を貼っておけば安心」という考え方がありますが、委託金額ベースと、計算後の印紙額ベースの金額で「高い方」がちぐはぐになることがあります。委託金額と計算後の印紙額ベースの金額で判断に迷ったときには、収入印紙は「印紙額」が高い方ではなく、「委託金額」が高い方の印紙額を採用します。
例:収集運搬委託金額20万円、処分委託金額60万円のケースでは、下記の表のようになります。
Q:委託金額ベースで選んで200円?それとも、計算後の印紙額ベースで400円?
今回ですと、委託金額が60万円の”処分委託の印紙額200円”を貼るようにします。
なぜ、委託金額の高い方の印紙額を採用するのか?
そもそも収入印紙とは、経済取引などに関連して作成される文書にかかる流通税です。不動産売買や賃借契約書、手形、領収書、株券など、所定の印紙を貼り付けて消印することで税金を納めることができる証票になります。
そのため、収入印紙が必要となる契約書などの課税文書には「印紙税法」で「第○号文書」といった種類が定められています。
収集運搬委託契約は、運送に関する契約書(第1号4文書)
処分委託契約書は、請負に関する契約書(第2号文書)
にあたります。それぞれの文書で委託金額に対する印紙税額が異なるので注意が必要です。
国税庁ホームページ「印紙税額一覧表」
1号文書と2号文書の両方の内容が記載されている契約書はどちらになる?
印紙税法別表第一の課税物件表の適用に関する通則にはこのように書かれています。
「第一号に掲げる文書と第二号に掲げる文書と言該当する文書は、第一号に掲げる文書とする。ただし、当該文書に契約金額の記載があり、かつ、党外契約金額を第一号及び第二号に掲げる文書のそれぞれにより証されるべき事項に係る金額として記載されている契約金額(当該金額が二以上ある場合には、その合計額。以下この口において同じ。)が第二号に掲げる文書により証されるべき事項に係る金額として記載されている契約金額に満たないときは、同号に掲げる文書とする。」
これを要約すると「1号と2号の文書の両方に当たる場合は、基本的に第1号文書になるが、それぞれの委託金額が明確に分かれる場合で、2号文書に当たる金額が高い場合には、2号文書にする。」となります。
今回のケースに当てはめて考えた場合、収集運搬及び処分契約という一つの契約の中で、委託金額が明確に区分されています。処分契約の委託金額が60万円と収集運搬契約よりも高いので、今回のケースでは2号文書として扱うことになります。ですので、印紙額が200円の収入印紙を貼ることとなります。
今後収集運搬及び処分契約の収入印紙で迷ったときは?
契約書に記載されている金額を確認し、第一号文書、第二号文書のどちらで扱われるかを判断することが大事です。 その上で、適切な金額の収入印紙を貼るようにしましょう!