2019.09.17
産業廃棄物の処理委託契約書には様々な雛形があります。中でも特徴的なものに、建設廃棄物処理委託契約書(通称:建廃契約書)があります。
この建廃契約書を作成するにあたって、多くの方から「品目も同じ、委託する処理会社も同じ、違うのは現場住所だけ…という場合でも、その都度新規の契約書を作らなければいけないの?」と質問をいただきます。
建設工事は、現場が都度変わるため、毎回契約書を作成するとなると「違反になるのは嫌だけど、手間がかかるなぁ…」なんて思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
では、実際法律ではどのように定められているのでしょうか?一緒に確認していきます。
建廃契約書の特徴とは?
建廃契約書は、主に建設廃棄物の委託に使用されるため、A3サイズの二つ折りで、条文もシンプルな構成になっています。
一方で工期や工事名称など、建設廃棄物ならではの項目が設けられているのも特徴です。
排出事業場の住所は契約書の法定記載事項に当たる?
実は、産業廃棄物の処理委託契約書を交わす際に排出事業場(現場住所)は法定記載事項ではありません。
法の規制では、委託契約書に排出事業場の詳細な住所を書かなければならないという定めはありません。
これは、建設廃棄物の契約書でも同様です。
こちらも、契約書に書かなくても良い、すなわち法定記載事項ではない「おせっかい項目」に当たります。
記載義務がない項目なので、住所が少し変わる度に契約変更をしなければならないということもありません。
とはいえ、多くの契約書には排出事業場を記載する項目があります。
この場合は、「〇〇市内各所 〇〇工事」などとして、ある程度広いエリアをカバーできる契約内容にすることをお勧めしています。
広い範囲をカバーする手法は、「エリア契約」などと読んでいます。
エリア契約にしておけば、細かな工事で都度契約書を作り直すという手間が大幅に削減できます。但し、注意点もあります。収集運搬契約では、排出事業場の場所によって運搬料金が変わることが一般的です。
そのため、広いエリアで契約してしまうと、収集運搬料金が定まらない場合があります。
エリアの広さを一定の収集運搬料金でカバーできるレベルに留めておく、またはエリア内で更に細分化した「料金エリア表」を作成し添付する、などの工夫が必要です。
建廃契約書でも基本は法定記載事項に立ち戻る
普段見慣れている書類であっても、いざ聞かれてみると本当に必要な項目なのか?書き方は正しいのか?明確に分からないということがあると思います。
そんなときは、まず法定記載事項を押さえるようにしましょう。
一覧表を見て、法定記載事項に含まれているか?を確認するだけでも、多くの疑問が解消できると思います。