2020.05.18
前回のコラムでは、「なぜ企業がSDGsに取り組む必要があるのか?」を紹介しました。 コラム「SDGsをなぜ企業は取り組む必要があるか?【シリーズSDGs-2】」参照
世界が目指す共通の目標に反する企業活動は、たとえ短期的に得であったとしても長続きはしない、むしろSDGsに沿った取り組みを行う企業が市場から受け入れられ「生き残り戦略」になり得る、ということでした。
では、まず何をするべきなのでしょうか?今回は、企業がSDGsに取り組む第一歩「自社の状況把握」をご紹介します。
SDGsはゼロスタートとは限らない?
さあ、SDGsがどういうものか大体分かったところで、何から始めようか??
でもどうしたらいいかわからない…
もしかすると、こんな状態に陥っている企業が少なくないのかもしれません。
SDGsの17のゴール、169のターゲット…裾野が非常に広いことで、迷ってしまうことも多いんですね。
世界のあらゆる課題を設定していますから、「どれから手を付けていいものか…」となってしまうのも無理はありません。そんな時は、まず現状把握から初めてみると良いでしょう。
何故ならSDGsの課題は非常に幅広いため、現在の自社に照らし合わせて見ると、既に出来ているところと、そうでないところが見えてきたりするのです。必ずしもゼロスタートではないということを念頭に、現在進行系で取り組んでいることを探してみましょう。
SDGsで既に出来ていることは?
では、どんな時に「もう取り組んでいるな」と判断できるのでしょうか?例えば…次のターゲットを見ていきます。
2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質および土壌の汚染による死亡および病気の件数を大幅に減少させる。
日本で工場を持つ事業者は、常に大気や水質等の汚染を出さないように努力していますね。
「死亡および病気の件数を大幅に減少させる」というのは、大気汚染などが深刻な国、地域に向けた表現かと思いますが、自主管理基準などを設けて、厳しく環境汚染を防ぐ為の活動をしている企業は、このターゲットに取り組んでいると言えます。
2030年までに、予防、削減、リサイクル、および再利用(リユース)により廃棄物の排出量を大幅に削減する。
これも、工場を持つ事業者なら廃棄物の排出量削減には常に取り組んでいますね。このように、SDGsの各ターゲットは、今の事業活動と全く無縁の新しい活動…というものは実は少ないかもしれません。
現在の事業活動と何らか関連しているものが多いのではないでしょうか?
そしてそれぞれに、取り組みのレベルがあり、SDGsのターゲットに照らして考えることで、どの分野がどの程度のレベルまで出来ているのか?が分かってきます。
現状把握から、取り組みを考えてみる
SDGsのゴール、ターゲットに照らして、自社の状況が分かってくると、恐らく様々なものが見えてくると思います。自社が力を入れて取り組んでいる活動が、ターゲットに当てはまるな…と感じた場合は、これを更に精力的に推し進めることで、社会に対する付加価値の高い活動になります。
こうした活動は社会にとって有益であるだけでなく、自社の価値をアピールする材料にもなります。
反対に、取り組みがあまり進んでおらず、課題となっている部分がターゲットと重なる場合…これをなんとか改善していくこともSDGsに照らして価値がある活動です。
こうした課題は、1社だけ特有のものであることは稀です。多くの企業が共通して抱える課題なので、積極的に改善していくことで、苦手分野であったとしても社会への価値提供となり、見せ方次第で体外的なアピール効果も得られます。
このように、様々な活動をSDGsと結びつけて考えていくことで効果を高める事ができるのは、SDGsの大きな特徴の一つですね。ただし、絶対にやってはならないことがあります。それは、次回「SDGsウォッシュって何?」でご紹介します。