産業廃棄物処理についてのお知らせ・コラム

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2015.10.22

買い叩きのリスク

産廃処理費は安いほどいい?

「出ていくものにお金をかけるわけだから、処理費は安いほどいいよね。」最近でこそ徐々に意識が変わりつつありますが、未だによく聞く台詞です。

こう思ってしまうのも無理はありませんが、基本的にどんな商品、サービスも「良い物を、より安く」だから魅力的なのであって「粗悪品を格安で!」という意味を求めているのではないでしょう。

しかし、お金を払うことで手元に商品が残ったり、メリットのあるサービスを受けられる一般的な取引と違い、廃棄物はお金を払って手放すわけなので、「良いサービス」、と「悪いサービス」の違いが見えづらいという構造上の問題があります。

物を買う場合、コストというマイナスを差し出すことで、商品・サービスというプラスを享受するわけなので、手元に残るものがプラスです。
廃棄物を委託する場合、適正処理の為のコストというマイナスを差し出すことで、不法投棄や不適正処理による逮捕や罰金、企業イメージや個人の社会的地位の失墜というより大きなマイナスを回避することになりますから、マイナスをゼロにすることになります。すると手元に残るものがゼロなので、コストのマイナスだけが目につきます。

これでは、なんとなく損した気分になるのも無理はありません。

安かろう、悪かろうは廃棄物処理でも同じ?

廃棄物処理費が高ければ高いほど良いという話でもありません。
趣向品ではないのですから、一定の品質を満足する適正価格であれば良いのです。

「じゃあ、適正価格はいくら?」と、セミナーなどに参加された方々からよく質問をいただくのですが、一概に決められないのがまた難しいところです。

廃棄物の内容は、各企業によって様々ですし、排出量や処分方法、立地などによって総合的に価格が決まります。
ですから、絶対的なラインはありません。
なので、適正に処理しているかの確認を法等で求めています。
マニフェストだったり、実地確認を徹底することで「実際の処理が上手くいっているかを見てください」と求められているので、それに伴う費用はしっかりと負担してください。

 

費用が十分でないと、法等で求められた基準を満足できない部分が出てくるだろうという考え方です。

これらをせずに、「委託料金の値下げを強く要求する」「金額だけを検討要素にして多数の業者を競合させる」「有価物化を強く推進する」ということをしていると、リスクが高まりますというお話です。

私は個人的な感触として、こうしたリスクをいまひとつ明確にイメージできずにいる方々が大半なのではないかな?と感じます。
「無理は承知の上。リスクを怖がっていては行動できないぞ!」という人はほとんどいないでしょう。

そういう場合は「無保険の自動車」に乗っているようなものです。万が一事故の際にはご自身の体や車はもちろんですが、相手やその他周囲の被害に対しても全てご自身で責任を取っていただくことになります。

処理費が安すぎて罰せられることなんてあるのか?

なぜイメージがつきづらいか?はここに集約されると思います。
「料金が安くて罰せられたなんて聞いたことがない」ということですね。

確かに私もあまり聞きません。

しかし、廃掃法第十九条の六にはこう記されています:

▶「前条第一項に規定する場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれにも該当すると認められるときは、都道府県知事は、その事業活動に伴い当該産業廃棄物を生じた事業者(当該産業廃棄物が中間処理産業廃棄物である場合にあつては当該産業廃棄物に係る産業廃棄物の発生から当該処分に至るまでの一連の処理の行程における事業者及び中間処理業者とし、当該収集、運搬又は処分が第十五条の四の三第一項の認定を受けた者の委託に係る収集、運搬又は処分である場合にあつては当該産業廃棄物に係る事業者及び当該認定を受けた者とし、処分者等を除く。以下「排出事業者等」という。)に対し、期限を定めて、支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。この場合において、当該支障の除去等の措置は、当該産業廃棄物の性状、数量、収集、運搬又は処分の方法その他の事情からみて相当な範囲内のものでなければならない。

一  処分者等の資力その他の事情からみて、処分者等のみによつては、支障の除去等の措置を講ずることが困難であり、又は講じても十分でないとき。

二  排出事業者等が当該産業廃棄物の処理に関し適正な対価を負担していないとき、当該収集、運搬又は処分が行われることを知り、又は知ることができたときその他第十二条第七項、第十二条の二第七項及び第十五条の四の三第三項において準用する第九条の九第九項の規定の趣旨に照らし排出事業者等に支障の除去等の措置を採らせることが適当であるとき。

簡単に言えば、「不法投棄・不適正処理をした業者が責任を取れない時に、適正料金を払っていなかったり、不適正処理が行われていることを知っている(知ることができた)場合等には、排出事業者に責任取ってもらいますよ。」ということですね。

こうした疑いがあるときに、適正料金でなかったことを立証するのは先述の理由で大変です。一方、こうした場合は何かしら別の形で排出事業者責任を問うことができる場合がほとんどです。

法律では、最終処分まで適切に行われていることを確認しなければなりませんし、実地確認などを行っていれば「知ることができた」と判断される可能性も高いです。

こうして、不適正な業者と取引をしていると、自社への責任が全く問われない状態を作るのは非常に困難なので、適正料金の議論とは別のところで、様々な責任を問われてしまうのでしょう。

そもそも、「安ければ安いほどいい」と考えている担当者が、複雑で手間のかかる廃棄物管理を徹底していることは稀です。

結局は、正攻法でしっかりと廃棄物管理をしていくと、規格外にコストの低いルートには行き着かないのですね。

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