2016.06.03
前編では、委託契約とは一体どんなものなのか?
委託契約の流れや必要事項について委託契約の基礎の基礎をお伝えいたします。
“委託契約”の意味すること
廃棄物処理の委託契約とは、どのような契約なのでしょうか?
廃掃法には、廃棄物処理における排出事業者の責任について以下のように書かれています。
自らの責任において適正に処理しなければならない。
とはいえ、廃棄物を全て自社で適正に処理することなどできませんよね?
そのため、後述の様々な委託基準を満たした業者に、自らの責任において処理を委託します。
つまり、委託契約とは「あくまで業者に委託しているだけで、責任は排出事業者にある」契約なのです。
委託基準と委託契約の流れ
6つの委託基準
廃掃法(法第12条第5項~第7項、法第12条の2第5項~第7項)には、事業者が産業廃棄物の処理を処理業者へ委託するときに、従わなければならない基準が定められています。この定めを「委託基準」と呼びます。
産業廃棄物の主な委託基準は以下の通りです。
- 産業廃棄物処理業の許可を持つ業者に委託すること
- その許可の範囲内で委託すること
- 処理の状況を確認すること
- 処理契約書を作成、締結すること
- 特別管理産業廃棄物を委託する場合は、あらかじめ必要事項を委託先業者に文書で
通知すること(種類、数量、性状、その他) - 契約書は契約終了の日から5年間保存すること
委託契約の流れ
運搬・処理を委託したい業者が見つかった際、以下の手順を踏むことをおすすめします。
委託基準を満たし、不適切な委託を防ぐための理想的な手順です。
契約書作成の6つのポイント
契約書の作成責任は排出事業者が負います。
処理業者に作成を任せるケースも多くみられますが、その場合でも、法律では排出事業者が作成することになっているため、責任を負うのは排出事業者です。
そのため、以下の作成のポイントをしっかりと押さえ、不備のない契約書を作成する必要があります。
①二者契約であること
排出事業者は、収集運搬業者と処分業者のそれぞれと契約を結びます。
ただし、収集運搬と処分を同一の業者に委託する場合は、1つの契約書にまとめても差し支えありません。
②書面で契約すること
原則、書面で契約を交わします。
記載内容に変更が生じた場合も書面で行います。
③必要な項目を盛り込むこと
必要な項目は、以下のように定められています。
(参考:日本廃棄物処理振興センター 産廃知識 委託契約)
(参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案新旧対照条文)
④契約書に必要な書類の写しが添付されていること
委託先の産業廃棄物収集運搬業、もしくは、処分業の許可証の写しが必須です。
それに加えて、契約内容に応じた書類の写しの添付が必要です。
代表的なものは以下の通りです。
効率UPのポイント
効率UPその①:雛形
そのため、さまざまな団体が用意している雛形を利用することをおすすめします。
各行政の雛形
委託契約書の雛形を作成している行政(北海道・横浜市・東京都・大阪府など)もあります。
こちらはHPで無料で公開されています。
建設系雛形
こちらは現場単位での契約を前提とした、建設廃棄物に特化した雛形です。
各地の産業廃棄物協会で購入することができます。
効率UPその②:電子契約書
廃棄物処理の委託契約書には、パソコン上で行う”電子契約書”があります。
製本・収入印紙の添付・押印等の作業や郵送でのやり取り、表記ミスがあった場合の訂正印や契約締結後の覚書。紙ベースでの契約書は何かと手間がかかります。
そのため、電子契約書の利用は、業務の効率化のための効果的な方法の1つです。
- メリット
- ①契約締結のスピードアップ
- ②経費削減
- ③コンプライアンス向上
電子契約についてのさらに詳しい解説はこちら
⇒契約書も電子化で、業務効率が圧倒的に高まる!?
基礎編はここまでです。
委託契約の大まかな仕組みや契約書について、学んでいただけましたでしょうか?
実践編では、契約書でよくあるミスとその対処法をご紹介いたします。
▼後編(実践編)の記事は、こちらからご覧ください。▼
【後編】委託契約書でよくある間違い・こんな時どうする!?