2015.06.12
その中で、各企業の担当者の皆さんとお話ししていると、廃棄物に関する用語等、本来の意味とは少し違う解釈をされているのでは?と思うことがしばしばありました。
その要因の多くは、なんとなく人から聞いた情報で止まっていたり、独自の拡大解釈が混ざったりすることだと感じました。
誤った解釈のまま廃棄物処理業務が行われているケースも珍しくありません。
今回はその中から、専ら物に関する内容を改めてまとめていきます。
専ら物とは?
そもそも専ら物とはどういうものなのでしょう?
「例外的に廃棄物ではなくなる物」
「専ら物を委託する場合には、もれなくマニフェストが不要」
「許可がなくても委託できる物」などなど・・・
様々なバリエーションに富んだ回答をいただきます。
これらは完全に間違いとは言いませんが、正解とも言い難い、微妙な勘違いを含んだ表現です。
極力誤解の無いような表現をすると、専ら物とは、廃棄物であっても、専ら再生利用(リサイクル)の目的となる古紙、くず鉄、空き瓶類、古繊維を言います。また、収集運搬のための許可が必要なく、マニフェストの発行も不要となります。
これらの4品目には、昔から収集運搬を生業としている小規模な事業者が多く、厳しい廃掃法を適用してしまうと、既存のリサイクルルートが機能しなくなってしまう恐れがありました。こうした小規模な事業者に対する配慮が必要なことから、一部の規制を緩和することになったと言われています。
では、このような専ら物への誤解にはどのようなパターンがあるのでしょうか?
4つに分けて考えていきます。
4つの誤解
誤解① 専ら物は廃棄物ではない
廃棄物の中でも特例が認められている物
専ら物は条件を満たせば、一部の規制が免除される廃棄物です。
もちろん、廃棄物であることは変わらないので、全ての規制が免除されるわけではありません。
廃棄物でなくなるのは、有価物として価値が認められた時です。
専ら物≠有価物であることをお忘れなく。
誤解② 対象4品目であれば、専ら物
対象物と排出先の条件が合致した場合に、専ら物
専ら物は、対象4品目もれなく該当すると思われることが多いのですが、専ら再生利用を行っているリサイクル業者に対する配慮が根本ですから、品目さえ合っていればどこに出しても同じではないのです。
リサイクルではない方法で処分をした場合、それは「専ら再生利用を行っているリサイクル業者」とは言えませんから、対象外となります。そのため、空き瓶を埋立処分場に委託をして、「専ら物だからマニフェストは要らない」と考えていると、法律違反です。
誤解③ 専ら物は、許可・契約書・マニフェストが不要
専ら物は、許可・マニフェストが不要
誤解①と少し似ていますが、専ら物となると「難しい書類は全て必要ない」と考えてしまう方もいます。免除されるのは委託先の許可とマニフェストのみなので、契約書は必要となります。契約書を交わしていなければ、もちろん委託基準違反となって罰せられる可能性があります。
誤解④ マニフェストが無いので、廃棄物を渡すだけで終わり
処理が確実に終わっているか、マニフェスト以外の確認が必要
マニフェストが無いと、運搬終了報告や処分終了報告がありませんので、渡して終わりになってしまうことがほとんどです。
しかし、排出事業者責任として最終処分まで確実に行われたことを確認しなければいけないという点は専ら物であっても変わりません。
そのため、少なくとも委託先でリサイクルされ、廃棄物を卒業するまでは、責任を持つ必要があります。
さらに、委託契約書には「委託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項」を法定記載事項として記入する必要があります。
一般的には、運搬終了報告はマニフェストのB2表で代えることができる等とされている雛形がほとんどです。
なんらかの形で別の方法を記載する必要があります。
万が一、マニフェストについて記載されたままの文面で契約書を交わし、マニフェストを発行していないと、厳密には契約違反になってしまいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回のポイントを整理すると、次のようになります。
専ら物は厳密に考えていくと、様々な条件が重なった時のみ適用され、ごく一部の免除がある程度のルールなのです。
拡大解釈が多い分野ではありますが、周囲が行っているからと言ってそれが正しいということにはなりません。
法律そのものの内容を順守してください。
以前であれば、廃棄物処理法違反であることは間違いない事案でも、まずは行政指導などで改善を求めるだけということが多かったです。
しかし、最近ではいきなり逮捕されるケースも出てきています。
さらには、逮捕の模様が、インターネット等により、積極的に報道されるといったケースも増えています。
再度、自社の委託先と管理体制を見直してみることをお勧めします。