産業廃棄物処理についてのお知らせ・コラム

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2023.11.28

処理業者の許可取り消し ~排出事業者は兆候を見抜けるのか?~

「この会社は付き合いが長く、信頼している」廃棄物管理担当者の皆さんから、時々こんな言葉をお聞きします。信頼は、これまで実績を積み重ねた結果で、とても価値があるものです。

しかし、処理会社は業許可制度の特性上、思わぬ理由で許可取り消しとなってしまう可能性があります。「しっかり処理してくれている」と思っていたら寝耳に水となるケースです。
この許可が取り消しになる『欠格要件』について、整理しておきましょう。

欠格要件では、役員個人の罪でも会社の許可が取り消しになる

役員が罪を犯し禁錮刑以上に科せられると、その役員が属する法人の廃棄物処理法上の許可が必ず取り消されます。廃棄物処理法での欠格要件は、大きく分けて 2種類あります。

禁錮刑以上で欠格になるものと、罰金刑以上で欠格になるもの。
法人自体に禁錮や懲役刑は科せられません。
言い換えれば個人に対してのみ適応される欠格要件と、法人に対する欠格要件があるのです。

禁錮・懲役は必然的に、個人に対してしか適用されません。法人を投獄、というのは物理的に不可能です。
ということは、禁固刑以上で欠格になる法律は、自然と個人を対象としています。
一方、罰金刑は法人に対しても科すことができます。

そのため、罰金刑で欠格になるよう法律で規定されている場合は、法人の違反を想定しているといえます(一部、刑法の傷害罪など、個人の罪ですが、より厳しく欠格要件が定められている規定もあります)。

罰金刑以上になると欠格になる主な法律は次の通り定められています。

・廃棄物処理法
・浄化槽法
・大気汚染防止法
・騒音規制法
・海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
・水質汚濁防止法
・悪臭防止法
・振動規制法
・特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律
・ダイオキシン類対策特別措置法
・ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法

環境に関する重要法がずらりと並んでいますね。

✓ 環境関連の法律に関しては、法人が罰せられると欠格
✓ その他の法律に関しては、役員個人が禁錮刑以上で罰せられると欠格

ざっくりと、このように把握しておくとシンプルでわかりやすいと思います。

個人の欠格要件はどこまで?

個人を想定している禁錮刑以上の欠格要件は、特に法律を限定していません。
どんな罪でも、役員が禁錮刑以上になれば会社の許可が取り消しになります。

過去には道路交通法違反で禁錮刑になったために、許可取り消しになった事例もあります。
極端な例では、酔っ払って暴力を振るえば、暴行罪で許可取り消しです。

さらに、ここまで「役員」と説明してきましたが、正確には「役員等」と記載され、下記の定義があります。

役員等の範囲に、相談役、顧問等の名称に関わらず法人に対し実質的に支配力を有していると認められる者が含まれる。

広い範囲で、会社の経営判断に関わる人が対象です。
イメージしていたよりも、対象が広いかもしれませんね。

結論、欠格要件を考えると、許可取り消しの兆候は見抜けない

個人の、運転マナーや酒癖までが、行き過ぎると会社の許可取り消しに結びつく可能性があります。
こう考えると、許可取り消しの兆候を100%見抜くことは不可能ですね。

極端な例であることは承知していますが、上記の例に限らず、予想外の許可取り消しや事業停止処分によって委託ができずに混乱するケースを今まで何件も見てきました。

対策としては、万が一のリスクを踏まえ、委託先を複数社用意しておくなど、委託ができなくなった時の対策を準備しておくことが大事です。

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