2015.11.19
そのため、地域住民の声から問題が浮き彫りになるケースが多いようです。
そこで、今回は廃棄物の保管基準についてご紹介します。
地域住民との良好な関係維持、企業のCSR向上のためにも、改めて「廃棄物の保管基準」と自社の保管状況をご確認されてはいかがでしょうか?
排出事業者にも関わる「廃棄物の保管基準」
廃棄物の保管基準というと、収集運搬業者の積替え保管や、中間処理施設の保管等をイメージされるかもしれません。
しかし、「廃棄物の保管基準」は、排出事業者責任の1つです。以下のように定められています。
産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準に従い、生活環境の保全上支障がないようにこれを保管しなければならない。
廃棄物処理法 第12条第2項
廃棄物の中には保管方法により、形状や性状が変わってしまうものもあります。
万が一、不適正な状態で保管されていたりすると、生活環境の汚染につながりかねません。
そのため、排出事業者も処理業者も、廃棄物を適正に管理する必要があるのです。
保管基準の内容
① 囲いの設置
保管場所の周囲に囲いを設けることが、保管基準で義務付けられています。
ただし、この囲いについて明確な定義はありません。
”廃棄物の飛散や流出を防ぐ”という目的に合った方法を検討する必要があります。(ex.ロープを張れば充分なのか、粒度の細かい廃棄物でコンクリートの囲いにする必要があるのか等)
また、保管する産業廃棄物の重荷に耐えられる強度が必要です。
② 保管場所の掲示
産業廃棄物の保管場所であることを示します。保管場所には産業廃棄物が保管されていることを示す掲示物 が必要です。下記の必要事項を表示した掲示板が、見やすい位置に設けられていることがポイントです。
● 事業場における廃棄物の保管場所掲示板例
③ 飛散、流出、地下浸透、悪臭発散の防止措置
保管場所から産業廃棄物の飛散、流出、地下浸透、悪臭発散が生じないようにします。
④ 公共水域・地下水の汚染防止措置
産業廃棄物の保管に伴って汚水が生じる恐れがある場合は、公共水域及び地下水の汚染防止のために必要な排水溝、その他の設備を設けるとともに、それらの設備の底面を不浸透の材料で覆います。
⑤ 害獣・害虫の発生防止措置
保管場所には、ねずみが生息したり、蚊、ハエ、その他の害虫が発生しないような対策も必要です。
⑥ 野外での保管
産業廃棄物を容器に入れずに屋外で保管する場合は、次のようにすることが定められています。
1)廃棄物が囲いに接しない場合は、囲いの下端から勾配50%以下。
2)廃棄物が囲いに接する場合は、囲いの内側2mは囲いの高さより 50cmの基準線以下とし、2m以上の内側は勾配50%以下とする。(勾配50%とは、底辺:高さ=2:1の傾きで約26.5度)
● 屋外における保管の高さの基準例(容器に入れずに保管する場合)
⑦ 石綿含有産業廃棄物の保管
石綿含有産業廃棄物について、その他の物と混合しないよう、仕切りを設ける等の必要な措置を行います。
また、飛散防止のために、覆いを設けたり、梱包することが必要です。
届出が必要になる?条例で変わる保管基準
廃棄物処理法をもとにして保管基準は定められていますが、+αとして各都道府県によってそれぞれの基準があります。
詳しくは管轄する行政に確認することをお勧めします。