2016.05.10
※2016年5月10日執筆時点の情報です。
ここ最近、「この廃棄物は、産廃それとも一廃?」という内容の質問を受ける機会が格段に増えました。
先日の食品業界で起きた事件をきっかけに、多くの企業が「今までやっていたことって本当に良かったの?」と自信が無くなって来たのではないでしょうか?
正直に申しまして、私もお電話口で「それは産廃、こっちは一廃」などと簡単にお答えできないのです。この問題に答えを出すには、ケースに応じて色々な情報をいただき、自治体などとも連絡を取り合わないといけないので中々に労力がかかるのです。(有料サービスをご契約いただいていれば、なんの問題もなくお受けするのですが)
今回は、ちょっと言い訳がましいですが、産廃と一廃を区別する難しさを解説します。
分かりづらい業種指定廃棄物
事業系一般廃棄物との区別
まず、産業廃棄物とは事業活動に伴って生じた不要物のうち、法で指定された20品目に当てはまるものです。20品目に当てはまらなければ事業系一般廃棄物です。
ここまではさして難しくありません。問題はここからです。20品目の中には、特定の業種から発生した場合にのみ、産業廃棄物となるものがあります。これを業種指定7品目と呼びます。
では、「自社の業種が、指定業種に該当すれば問答無用でその品目は産廃」かというと、そうではありません。
例えば、木くずは建設業の業種指定品目ですが、建設現場でお弁当を食べた際の割りばしは、産業廃棄物でしょうか?感覚的にも「それはないだろう」と思われる方が多いと思います。
木くずは、以下のように定められており、実際の建設に伴う木材等に限定されます。そのため、お弁当の割りばしは事業系一般廃棄物です。
建設業に係るもの(工作物の新改築又は除去に伴つて生じたものに限る)、木材又は木製品の製造業(家具製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む)に係るもの並びにPCBが染み込んだものに限る
廃掃法 施行令 第2条2号
「~業に関わるもの」という文言は、どこまでが「関わっていると言えるのか?」という部分に非常に大きな解釈の余地があります。
建設業における木くずは、事業系一般廃棄物と業種指定産業廃棄物との区分がはっきりとしている方です。より曖昧な業種指定品目が存在します。
動植物性残さが難しい!賞味期限切れは?不良品は?
特に、複雑なのが動植物性残さです。
廃掃法施行令第2条第4号では、次のようにされています。
食料品、医薬品又は香料製造業において原料として使用した動植物の固形状の不要物
廃掃法 施行令 第2条4号
また、JWネットの一覧表や行政のHP等では、少し補足が加わって以下の記述になっています。
食料品、医薬品、香料製造業から生ずるあめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚および獣のあら等の固形状の不要物
この文言だけを読み取ると、「原料として使用した~」や「○○かす」といった表現から、製造工程での副産物のみが対象であるかのように解釈することができそうです。通常、産業廃棄物は事業活動に伴う副産物の中で価値の無い物という考え方に立てば、当たり前なのかもしれません。