2017.08.01
今回のコラムでは、前回に引き続きお客様から実際にいただいた質問をもとに、ひとつのケースをピックアップして解説していきます。
今回は、「建設工事を行った際に発生する廃棄物の排出事業者責任が誰になるか」を判断するポイントを解説します。
建設工事に関する排出事業者責任
照明の更新工事を行った。蛍光灯とカバーを取り外し、工場内の全ての照明を蛍光灯からLEDへ取り替える。古い蛍光灯等の排出事業者は誰になるか?元請責任は適用されるか?
元請責任とは、「工事で発生した建設廃棄物については元請業者が排出事業者として、排出者責任を負うこと」です。建設廃棄物は排出場所が一定ではない、請負の形態によって排出事業者の特定が困難等の理由から2010年の廃掃法の改正によって制定されました。
▼ 詳しくはこちらのコラムで解説しています。
【元請責任】工事現場の廃棄物は誰の責任?
さて、その元請責任に該当するかどうかは、行う工事が廃掃法上の「建設工事」にあたるかによって決まります。
では、廃掃法上の“建設工事“はどのように定められているのでしょうか?それに関しては、以下の通知が参考になります。
土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)・・・
建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)
「建設工事」とは、土木建築に関する工事であって、広く建築物その他の工作物の全部又は一部の新築、改築、又は除去を含む概念であり、解体工事も含まれること。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(通知)
上記の通知のように、廃掃法上の“建設工事”とは、「建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事」「建築物その他の工作物の全部又は一部の新築、改築、又は除去を含む概念であり、解体工事も含まれる」とされています。つまり、「建設物等(全部でも一部でも)を新築、改築、解体する工事」という解釈ができます。
一般的な工事とは、少しイメージが異なると思います。また、建設業法上の“建設工事”とも異なります。
判断基準は、廃掃法上の“建設工事”かどうか
よって、行う工事が廃掃法上の“建設工事”である場合は、元請責任が適用され排出事業者は元請業者となります。
また、行う工事が廃掃法上の“建設工事”ではない場合は、事前の取り決めにより、産業廃棄物の排出事業者責任の所在及び費用負担についてあらかじめ書面で定めておくことが望まれます。
ご相談いただいたケースでは、蛍光灯本体とそのカバーの交換のみで、壁や床に穴を空けていないので、廃掃法上では建設工事に含まれず、元請責任には該当しないと判断できます。よって、排出事業者は自社となります。
一方、作業内容が似ていますが、空調設備の新設の場合は、壁や天井裏の配管を通したり、ダクトを新たに通したりするため、壁に穴を空ける建設工事にあたる可能性が高いです。
建設工事に該当するかどうかの判断は、自治体によって多少異なる可能性がありますので、迷う場合は、事前に行政へ問い合わせることをおすすめします!