沖縄県の大手処理会社『倉敷環境』が、受け入れた廃棄物を自社の敷地内に長年積み上げていた問題で、業許可が取り消されたニュースをご存知でしょうか?
県内大手の処理会社に委託できなくなることで、多くの排出事業者が委託先の確保に困るのではないかと予想されていました。
行政は、県内のその他処理会社で十分処理をまかなえるとコメントしていましたが、地方紙では排出事業者と処理業者の間に“ミスマッチ”が生じているというニュースが出ています。要点を以下にまとめました。
このように、今県内で起っている“ミスマッチ”とは、今まで倉敷環境に委託していた多くの排出事業者が、別の処理業者に頼むと「料金が高くなる」、「分別の基準が変わる」といった理由で、現実的に委託できないと主張しているというものです。
ニュース記事によると、処理業者に料金が高すぎるというクレームを付けている排出事業者もいるとのことですが……。
基本に立ち返る必要性――「適正」な処理には「適正」な料金が設定される
そもそも、排出事業者は何と比べて「料金が高すぎる」、「分別基準が変わると困る」と主張しているのでしょうか。よく考えてみれば、非常に危険な要求をしていることが分かります。
と言いますのも、今まで排出事業者が委託していた処理業者は、敷地内に処理しないままごみの山を積み上げていたり、不法投棄の疑いで許可を取り消されたりしたようなところです。
適正な処理をしていないのですから、分別が適当でも関係ないですし、料金が安いのも当然といえば当然です。
それを引き合いに出して適正な処理を行っている処理業者に値段交渉を行ったり、分別基準を変えたくないと主張したりするのは、非常に危険な考え方だと思います。
違法行為の下で設定された取引条件と適正な取引条件は、そもそも同じ土俵で比べられるものではありません。
今一度、排出事業者の責任を考える
適正料金を負担することは、排出事業者の義務です。あまりにも安い金額で委託していると、不適正処理の撤去費用を請求されることもあります。
排出事業者の皆さまには、今一度「適正料金」の定義を考え、「とにかく安く」という考え方ではなく、効率的で適正な処理を行い、その上で必要な費用は負担していただきたいと思います。