2018.10.30
リスク分散の必要性を感じる欠格要件のニュース
排出事業者にとって、委託先を信頼できるかどうかはとても重要です。
そのため実地確認などによって、適正処理が確保できるかを見極める必要があります。
しかし、「この処理業者は信頼できる!」と確信したとしても、1社に頼り切るというのはリスクがあります。
なぜなら、処理業者の業許可というものは、実は非常に不安定なものであり、いつ取り消されるかもわからないからです。
そのような、委託先の許可取消リスクを象徴するような報道があります。
・香川県は2018年7月27日、県内の産廃処理業者に対して許可取消処分を行った。
・原因は、当該処理会社の役員が道路交通法に違反し、2016年12月21日懲役6か月、執行猶予3年の刑を宣告され、2017年1月5日に刑が確定したことによる、廃棄物処理法に規定する欠格要因に該当したため。
処理会社の役員が、「道路交通法違反」によって懲役刑を受けたことが理由で、産業廃棄物収集運搬業の許可が取り消されたというニュースです。
いくら信頼できる処理業者とはいえ、役員の運転技術やマナーまで把握できるかというと難しいものがあります。
法律上「役員の道路交通法違反」は、”欠格要件”にあたり、業許可が取り消されます。
欠格要件とは?
産業廃棄物処理業許可は、法に定められた欠格要件に該当した場合、「許可を取得することができない」のですが、許可業者が欠格要件に該当した場合「許可を取り消さなければならない」という規定があります。
廃棄物処理法だけでなく、浄化槽法や水濁法、大防法などの環境関連法に違反した場合、もちろん許可取消となる場合があります。
この場合は、条件は細かく定められており、例えば「第〇条の規定に違反し罰金刑に処せられその執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者」などといったようなものです。
つまり、環境関連法で罰金刑以上が確定した場合、その会社は許可取消と考えていただく必要があります。
廃棄物処理業の許可ですから、環境法に違反するのは厳禁です。
欠格要件に該当するのは環境関連法だけ?
どの法律でも役員の禁錮以上の刑が確定すると許可取消
しかし、欠格要件には今回のように環境関連法以外の違反でも該当する場合があります。
それが以下の条文で規定されています。
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
特に第14条では
個人で政令を定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
とあります。
この条文の意味はすなわち、政令で定める使用人(=工場長や支店長などの一定の権限を有する人や会社役員)が、規定されている内容に該当した場合に欠格になるのですが、その内容の中に禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者があります。
つまり「役員は、どの法律かに関わらず、禁錮刑以上になったら許可取消」となります。
会社に対してならまだしも、役員個人の違反まではどれだけ綿密にチェックをしてもしきれません。
特に、道路交通法などは例え過失であっても、その程度によっては禁錮刑以上に処される場合があります。
大切なのは複数契約によるリスク分散
「処理業者は、いつ許可が取り消されるかわからない」というのは、決して極論ではないことがお分かりいただけるかと思います。
だからこそ、複数社と契約し、常に複数の処理ルートを確保するという対策が有効なのです。