産業廃棄物処理についてのお知らせ・コラム

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2018.12.29

逆有償とは?知らないうちに違法状態に陥るカラクリ

逆有償とは?

逆有償という言葉をご存知でしょうか?
簡潔にいえば、「有価販売する物の金額(儲け)よりも、支払う金額(コスト)が上回る為、純粋な有価販売とは言えない取引形態」を指して「逆有償」といいます。商品として見た場合「赤字」になる物というイメージで捉えていただいても結構です。

コストの中でも最も多いのは、運搬費です。運搬費が販売代金を上回る場合、運搬段階までは「廃棄物」として扱います。

環境省の「規制改革通知(H25.3.29付)」では、売却代金と運送費を比較し、排出事業者側に経済的損失がある場合(「運賃による逆有償」「手元マイナス」)については、輸送段階は産業廃棄物に該当し、引取側に到着した時点で廃棄物に該当しなくなる場合があると示されています。

逆有償になった場合の対応

廃棄物処理法の規制を受けるので、収集運搬委託契約を締結し、マニフェストも運搬完了報告であるB2票までを運用します。

運搬時のみ廃棄物として扱い、到着後は純粋な有価物となるため、この形態を逆有償の中でも「到着時有価物」と筆者は呼んでいます。

分かりづらい既存取引の条件変更に注意!知らないうちに逆有償だった?

上記の知識をしっかりと理解していれば、新しい取引を検討する際に「運賃のほうが高くなってしまうな…」とわかった時点で、逆有償の対応をしなければならないことがわかります。

だからといって、安心はできません。全く新しい取引を検討する際のように、簡単に「逆有償」だとわかるケースは稀です。
むしろ、今まで純粋な有価販売だったものが、知らないうちに逆有償取引に変わってしまう場合が多くあります。

実は逆有償取引をしているかもしれない!よくある3つのパターン

①相場変動により買い取り単価が徐々に下がって…

じわじわと買い取り単価が下がり、気がついたら運搬費のほうが高く、逆有償状態になっていた…となってしまうパターンです。

②運搬費の値上げによって…

燃料費高騰などの理由によって、運搬費が値上がりし、逆有償状態になるパターンです。

③1回あたりの運搬量が減って…

過積載に対する取り締まりが強化されているから…といった理由で、1回の運搬で運ぶ量が減ってしまうと、運搬費をまかなえるだけの売却代金を確保できなくなってしまうパターンです。

これらのパターンは、既存取引の条件の一部を変更するだけです。
ちょっとした条件変更だと思って軽く考えていると、知らず知らずのうちに逆有償のボーダーラインを超えてしまう場合があります。

運搬費以外のコストでも逆有償に係る可能性がある

例えば、「加工費」など運送費以外の名目でコストを支払っている場合も逆有償です。金銭だけでなく、加工に必要な材料を提供したりといった場合も、「コスト」とみなされ、有価物と認められない可能性が高いです。

また、有価物として販売した物が加工され、リサイクル製品として商品化されたものを購入する場合も注意が必要です。

「明らかに市場価格よりも高い金額でリサイクル製品を購入している」「リサイクル製品を購入しているのが、自社だけである」といった場合には、やはり逆有償の疑いがかかります。

純粋な有価物として価値がないものを、リサイクル製品購入時の費用に転化することで見かけ上、有価取引に見せているという疑いです。

こうした複雑な取引形態は、現担当者の着任前、それもかなり以前から続けられているケースが多いように思います。

「この形態で長く続けているから」という安心感、そして「ややこしい取引形態を紐解くのは大変そう」という抵抗感から、放置される傾向があるようです。

廃棄物担当者の理解だけでは甘い!逆有償は知らないところで起こる!?

逆有償取引が、知らないうちに発生しやすいもう一つの要因は、「廃棄物担当に相談せずに取引が成立する可能性がある」という点です。

廃棄物管理担当者が逆有償の知識を持っていたとしても、管理外で逆有償取引がされている場合があるということです。

廃棄物の新規取引をする場合には、委託契約書やマニフェスト等々の手配が必要なので、必ず廃棄物管理担当者を通すという企業が大多数です。
しかし、有価物の場合はどうでしょうか?各発生部署で独自に取引をしていないでしょうか?

法律の厳しい規制もなく、契約書やマニフェストも不要です。「廃棄物」ではないので、廃棄物管理担当者に相談するという発想自体がないかもしれません。

逆有償の知識を持っているのは廃棄物担当者のみですから各部署の担当者は「逆有償と知らずに、有価物だと思って取引してしまう」ということになるのです。

逆有償に対する最低限の疑いを持てるだけの知識共有する

逆有償対策として、まずは自社内の有価物取引を洗い出してチェックする必要があります。
取引内容をヒアリングしながら、隠れたコストがないかと探っていくのは決して楽ではないですが、一つ一つ着実に行っていきましょう。

さらに、今後、逆有償取引が発生した際に感知できるようにしておく必要があります。そのためには、研修などによって廃棄物担当者以外にも広く逆有償の知識をつけてもらう必要があります。

しかし、逆有償かどうか?と判断するまでの知識を標準化するのは難しいため、「ちょっと怪しいな、相談してみようかな」という疑いが持てるレベルを目指すのが現実的です。

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